マルファン ネットワーク ジャパン
IFMSO 国際マルファン組織連盟アメリカ総会

IFMSO 国際マルファン組織連盟アメリカ総会
2日目(国際マルファン組織連盟総会、勉強会、ポスター展示)

表紙 1日目 2日目 3日目 最終日 Q & A

NMF創始者である、プリシラさんに御会いしたので、「いままで、わたしたち 日本の活動に対して、いろいろと力を貸して下さり、ありがとうございました」と言うと「御礼なんていわなくていいのよ。あなた方、ひとりひとりが 今日この場所にいる、ということが、とても大切だから」と暖かい言葉を かけていただきました。プリシラさんはNMFの創始者であり、18年前彼女のキッチンテーブルから、NMFが始まったそうで、7人いるこどものうち、3人がマルファンだと話していました。

「ポスター好評」
各国が自分たちの団体の活動を紹介するパンフレットやポスターを展示。
日本のポスターには紙風船や折り鶴がデザインされているもので、展示机の上にも和紙や紙風船、折り鶴をあしらった。とっても美しいと好評。(和文:古藤、英訳:霜崎、デザイン:新野)




(ポスター展示中の様子)

午前:IFMSO会議

次回国際会議は2005年ベルギーで
朝食を取りながらミーティング。
アメリカ、フランス、ベルギー、オランダ、スイス、デンマーク、の代表が 参加。次回2005年の国際マルファン学会は、ベルギーで開催されることを 承認。

事務協議
会計はカナダ、書記はアメリカに決定。

参加者の感想
大会の前日にIFMSOの会議がありましたが、これはアメリカ以外の国の組織を束ねた もので、組織としてきちんと機能していなかったから見直しましょうというものでし た。次回の大会をベルギーが招致したいという申し出を動議として議長(名誉会長の プリシラ)が出し、セコンド(支持)を受け、各国の意見を聞きました。全ての国が サポートするという意見でしたが、ここでは、それは確定事項ではありません。 インターネットで世界中誰もが自分の国のマルファンの組織にアクセスできるように する必要があるからリンクを貼りましょうという話しも出ました。「日本の場合、い きなりMNJのサイトには無理です、アルファベットしか認識できないものが世界のほ とんどですから」と言う話しも少しでました。これからは世界を視野に入れてサイト を運営していくということなのでしょうかね。(霜崎)


午後:NMFの地域代表とIFMSOが集まり、運営について勉強会

責任
IFMSO 国際マルファン組織連盟会長プリシラさんの言葉。
「自分がマルファンとわかり、正しい情報を手に入れたそのときから、 他のマルファンの人たちの命を救う責任がその人には生まれるのです。」

ボランティアトレーニング
活動に協力するボランティアをトレーニングすることが大切。地域の電話の対応係は、
1、まずは聴く事を覚える。
 自分の意見はこうだと強く主張するのではなく、 相手の事も考える対話を覚える。
2、インターネットを活用する
 もっとも即時性があり伝わりやすい媒体。 e-Mailニュースはとても効果があり重要。

技術を使う
1、インターネットをフル活用し、情報を求めている人を探し出す。
2、Eメールネットワークで最新情報を提供する。

医者の教育
1、資料の渡し方(無差別的な郵送や手渡し)
医師の元には、非常に多くの資料が届けられている。そんな状況の中でも、マルファンの記事に注目してもらえるよう、封筒のデザインを工夫して。思わず中を見たくなるようなものにする。たとえば 「アリソンは医師がマルファンを知らなかったために死んだ」 という見出しが封筒に書いてあると中身まで見てもらえる確率が高くなる。また封筒の外側にマルファンの症状を書いておくと中を見てもらえる確率も上がる。中のパンフレットには、簡単な情報のみ書いておき、あとでNMFにコンタクトして、 詳しく知ることができるようにしている。また医療アドバイザーを書いておいて、医療関係者が直接連絡を取る事が出来る工夫もする。

2、医学学会でブース展示をする
NMFの存在を知らせる事が大事。各地域で開催される学会で アピールできるボランティアを募集。地道だが、ネットワークを築くためにとても有効である。

3、救急医を教育する
救急救命室に運ばれて突然死してしまうマルファンの人たちを救うために、救急医療にたずさわる人たちの教育に力をいれている。ERにマルファンが取り上げられたのもその一環。

4、地域の医師を教育する。
地域の病院一件一件に電話したり、訪問していく活動を、出来る会員が地道に続けている。

5、患者会同士の横のつながりを大切にする。
そくわん、目、といった他の症状をもつ人たちの患者会とのネットワークづくりも大切。

リサーチと治療について

 NMF会員が、ボランティアで研究者のリサーチに協力する場合、サンプルを 使ったあとの行方をはっきりさせておくことが大切である。

資金集めの方法

 People support people. (人々が人々を支える)。草の根活動が大事。
バザーやポストカード、チョコなどを作り出店で販売。栞や付せんを作り、販売。
今回ベルギーからの参加者の渡航費用は、バザーでまかなったと言う事だった。参加者は、代表となる人たちと、毎年若い人を選んで連れてきていると言う事であった。

マスコミ対応

マルファンをメディアに取り上げてもらう時の注意点などを学ぶ。
1,新聞に取り上げてもらうコツ
2,マルファン症候群をつたえるキーメッセージとは?

医者の問題はアメリカも同じ

アメリカでもマルファンに詳しい医師は少ない。 仕方ないのでマルファンに詳しい医師の持っているネットワークを活用する。 また、ティーチングホスピタル(教育病院)の先生はマルファン詳しいので、 そのつながりを利用する。医師は転勤するので、病院とではなく、その医師個人とコンタクトをとりつづけることが大切。

特定の医師は紹介しないこと

 どの医師にかかるのが良いか、という質問がきたら、必ずその地域の 複数の病院を紹介し、質問者が自ら選ぶことができるようにする。 決して病院を勧めない。病院リストは病院間の確執をうむので 公開しません。狭い国なので色々気を使います。(ベルギー)
アメリカでも「NMFでは、いかなる治療方法や医師も推薦していません」と断った上で、マルファンの診療に携わった経験のある医師リストを見せている。

情報公開に伴う偏見や就職、就学の問題

 自分がマルファンとわかり、正しい情報を手に入れたそのときから、 他のマルファンの人たちの命を救う責任がその人には生まれるのです。正確な情報をコンスタントに発信しつづけていけば、現在情報発信に懐疑的な人の意見が代わる時が必ず来ます。NMFは創設から18年ですが、最初のうちは、情報を一般に公開していくことに対する反対意見もありましたし、今も一部であります。しかし、もっとも重要なことは、正確な情報を発信し、一人でも多くの方々の命を救うことだと思い、活動をつづけています。正確な情報をコンスタントに発進しつづけていくことで、社会のマルファンに対する偏見もなくなります。(NMF創設者 Priscilla Ciccarielloさん)
 もし、マルファンについて世間に知れ渡り、自分がマルファンだと他人に悟られることを心配している人がいるのであれば、「私はマルファンではありません。マルファンの診断は容易ではなく、外見上そう見えてもマルファンでない人もいます」と嘘をつく権利は当然あると思います。(NMFスタッフKaren wolkさん)


(各国が運営上かかえている問題についてアドバイスしあう。NMFスタッフはその経験の豊富さから指導的立場にたつ)

MNJのアンケート
目次を訳して見せると、みんな驚くが、内容までは解ってもらえないので 残念。作成段階から医師としっかりタッグを組むと学会発表が しやすかったかもしれない。

世界の仲間との交流(各国のサポートグループのスタッフ)
エルサルバドル 子供が5歳でマルファン。ご主人をマルファンで亡くす。
カナダ 子供をマルファンで亡くしたご両親が代表。(マルファンではない)
ベルギー 夫がマルファンで10年前に死亡。3人の子供の末っ子がマルファン。 フルタイムで働きながら、代表もこなす。

本人では大変
 マルファン本人がスタッフをする事は負担が大きすぎるので、 どの国もマルファンではない人がスタッフである事が多かった。

リン・サカイ先生
スタンフォード大学の医師リン・サカイ医師に会う。日系人。気さくな女性だが、 マルファン症候群がフィブリリンが原因である事を世界で初めて突き止めた 医師。京都の青山先生をご存知であった。ポスターを見て感動されたようで 「日本にもマルファン症候群の団体ができて、本当にうれしい」 と、とても感謝された。来年日本に行くので講演しても 良いと言われた。名古屋市立大学にも詳しい先生がいるとの事。

参加者の感想

日本のこじんまりとした組織に比べるとアメリカのNMFはとてつもなく大きく、良く 組織され運営されているようです。もちろん選任のスタッフがきちんといて、その下 にチャプターと言う支部があり、次にサポートグループがあるようです。サポートグ ループはそれぞれの地域でボランティアがマルファンについての啓蒙活動や支援を行 いますが、規模は本当に少人数のものも。チャプターというのはきちんと本部に登録 して、運営面でも免税の措置を受ける組織で、小さなサポートグループが成長すると チャプターに昇格するのですね。どういう活動をしたら良いかのノウハウや資料、マ ニュアルも本部からきちんと伝授されます。今回、いくつかのチャプターがその活発 な活動で表彰されていました。本部にはboard(役員会)の上にadvisory board(顧 問、諮問委員会)があって今回の大会のディレクターをしてくださったDr.Dewtz(デ ィーツ医師)もそのお一人です。(霜崎)

午後:オープニングパーティー

NMF総会に先立って一足先に開かれたIFMSO会議も終了。総会の二日まえから、希望する会員を対象にマルファンクリニックが開かれていた。これはアメリカ国内で保険に加入していない方々が無料で検診を受けることができる、またマルファンを総合的に診察してもらった事の無い人たちも詳しい医師に診てもらえる、という、非常に頼りになるクリニックです。毎年の総会で必ず開催されています。また検診に協力している医療関係者は全てボランティアでした。


(参加各国の旗が飾られた演題)

日本代表
豪華な部屋で約400人が参加。着飾っている参加者も多い。 パーティーの最初に各国代表が紹介され、拍手を受けました。

医師の表彰
マルファン症候群に貢献した医師、研究者の表彰。マルファンに関する 研究でノーベル賞をとるだろうと言われている医師なども含まれ名だたる世界的な医師ばかりで圧巻でした。


(真ん中がJohns Hopkins大学でマルファンの研究を50年以上に渡って続けている功績をたたえられた Victor Mackusick博士。団体としてJohns Hopkins大学マルファンクリニックが受賞。その他の分野でマルファン症候群の研究や治療に功績のあった方々が表彰を受けた。皆さん本当に嬉しそうな様子)

参加者の感想

会長のジョーが出席者を鼓舞するスピーチをしまし た。会の出席の目的はそれぞれ違うということを言い、診断、治療を受ける者、教育 を授ける者、経験を共有する者、そして友人を作るためにきている者を上げました。 もちろんキーワードはマルファンです。日本の場合まだまだ当人、あるいは配偶者が 走り回らなくては動いていかない現状だと思います(私の短い経験から知る限り)。
ここではマルファンであることが誇りとまではいわないけれど、充分大きな顔して、 その特徴をさまざまにさらけ出せるのです。写真を撮りますよといわれても、小さく ならなくてもいいし(というより私は小さい方でした)、隣を見ると私とおんなじ足 をして、その先に長い指がひょろりとくっついている、人種に関係なくとあります が、本当だわと思わず笑ってしまいました。もちろん、症状はさまざま、私はマイルド(穏やかな)な方だと思います。(霜崎)



(開会式の様子。400人以上が集った)


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