マルファン ネットワーク ジャパン
突然やってくる大動脈瘤破裂と大動脈解離
─正しい知識と対策─


ただいまご紹介いただきました霜崎です。今日は、マルファン症候群の患者と関係者が作るマルファンネットワークジャパン(MNJ)という当事者の会について、そして一人のマルファン患者の思いについてお話ししたいと思います。このような場を与えてくださり、感謝申し上げます。
マルファン・ネットワーク・ジャパンMNJは、2000年4月に「正しい情報は命を救う」との信念の元に正式に会として発足しました。私が入会したのは2002年の春です。
私は父からの遺伝のマルファン症候群です。父は60歳のときに腹部の大動脈瘤破裂で九死に一生を得たときも、次に66歳で胸部の大動脈破裂で急逝したときも、医師からマルファンという言葉は聞きませんでした。けれど、あとになって父の死亡診断書にマルファンの記述があるのを見つけました。そして、私自身、1996年の3月に、急性解離による背中と胸の激しい痛みで緊急入院しました。そのときに医師からマルファン症候群であるとの診断を受け、手術はリスクが高すぎると云われました。同じ病棟には私より年配の方が多く、「若いのに気の毒だね、聞いたこともない病気だ」といわれ、(当時は少し、若かったわけですから、)いつも同情されていました。3ヶ月の入院後、すっかり季節は夏になり、緑がまぶしい中、私は退院しました。けれど、解離していることに変わりはなく退院後の生活には不安がありました。「お雛様のように飾っておくわけにもいかないしね」と主治医も困った様子でした。主治医から手術のリスクについて聞いていたので、今度解離したら自分も父と同じように死ぬのだと思っていました。そんな中で、MNJのHPと出会ったのです。

そこに載っているマルファンの症状はいちいち思い当たるものばかりでした。小さいときから細くて背が高く、何かにつけて人と違うという疎外感を抱いていましたが、大動脈のもろさ、背が高いこと、長すぎる手足の指、漏斗胸、肩にある成長線などなどマルファン症候群というキーワードですべてがつながり、納得のいく思いがしました。むしろ、安心したという気持ちでしょうか。この納得の思いはMNJに入った会員が同じ感想を述べています。横浜で初めて、マルファンの仲間に会い、ペンを握る細長い指を見て自分と同じだと親近感を覚えました。そして、手術の経験者がたくさんいることも初めて知り、大変驚きました。しかも、マルファンの患者は手術を一度すればそれでいいとは限らないのですが、一度ならず、複数回の手術を経験して、元気でいる人たちがいることに大変勇気付けられました。また、解離してから緊急手術を受けるのではなく、定期検査を受けつつ時期が来たときに良い状態で待機手術を受けるほうがどれだけ成功率が高いかという話も聞きました。その後、今からちょうど一年前になりますが、腹部の大動脈拡張を指摘され、私も手術が必要だと言われました。そのとき医師の勧めを前向きに受け入れることができたのも、MNJで仲間から聞いた経験談や情報のおかげでした。手術の前日、病室には仲間が何人か励ましに来てくれました。最初の入院のときに、聞きなれない病名を回りに一生懸命説明していた私とは大違いでした。


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