- 日時:平成20年9月5日(金)13時より 7日(日)13時 まで3日間
- 会場:ホテル阪急エキスポパーク
- 事務局:徳島大学大学院医科学教育部人類遺伝学分野 内
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1.MNJの講演内容の要旨 |
題名:マルファン症候群と生きる〜遺伝を受容し共に歩むために〜
講演:マルファンネットワークジャパン(MNJ)
さいむらりえ・霜崎洋子
1.マルファン症候群とは
- 結合組織に症状の現れる、常染色体優性遺伝による遺伝性疾患であり、年齢、性別を問わず、あらゆる人種、民族に見出される。発生率は5千人から1万人に1人と推定される。
- マルファンの症状は各人各様で、同一家系内でも、臨床症状に多様性が見られ、多くの場合、加齢とともに症状が進行する。
- 症状の出現する頻度の高い器官は、骨格、眼、心血管系、神経系、皮膚、肺などである。
- 原因は、フィブリリンの変異及び、TGF-βシグナルの亢進の関与とされる。
- 臨床的に診断されることが多い。
2.患者の立場からとらえたマルファン症候群の困難さ
- 症状が多診療科目に関わる場合が多く、患者の精神的・肉体的負担が大きい。
- 命に関わる合併症のリスクを感じながら生きている。
- 大動脈、眼、背骨等においてそれぞれ複数回の手術が必要な場合、仕事や学業を中断せざるを得ない。
- 遺伝病のため、結婚出産に関して、大きなためらいがある。特に女性の場合、出産には十分な管理が必要で、医師、家族の賛同を得られないことがある。
- 子どもに疾患が遺伝した親が罪悪感を持つ。
- 骨格や眼に関して外見上、疎外感がある(特に子ども時代において)。
- 早期に診断されたため、予防的な生活を送り、基礎体力がなく、行動範囲が限られ、そのことがQOLを低くする。
- 症状に個人差が大きく、自分の活動の範囲を定めることが難しい。
3.患者会マルファンネットワークジャパン(MNJ)とは
マルファン症候群患者本人の作る個人ホームページから始まり、2000年に発足し、2008年現在、会員350名強を有する、当事者の会である。医療従事者38名がアドバイザーとして協力を得ている。
その活動目標は
- 情報の収集と提供
- コミュニティの形成
- 社会に向けて、正しいマルファン症候群の理解を求める
- 患者の生活環境の向上
4.患者会の意義
- 同じ立場、経験の分かち合いの場を与える
- 病気を受容して肯定的に生きる力を与える
- 社会に対して、疾患の情報を発信し、啓発活動をすることは、社会資源となりうる。
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