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知らないと恐いマルファン症候群  

3.マルファン症候群の特徴

 マルファン症候群の特徴として留意すべき点をもう一度復習してみましょう.

 まず外見上の特徴は,身長が高い,四肢(腕,脚)や指が長い,痩せている,極度の近視である,背骨が曲がっている(側弯症や後弯症),胸郭がへこんでいる(漏斗 胸)等です.これらの点に注意することが必要です.(4月号のイラストを参照して ください)

 次に,内科的検査によって初めてわかる,心臓や血管の異常といった内科的特徴をあげます.

 内科的な特徴としては,左心室から上行大動脈が嚢状に拡張してくるのが最大の特徴です.マルファン症候群患者では大動脈壁に構造的異常があり,壁の強度が弱いために,血圧が上がると容易に動脈壁に亀裂(これを解離といいます)が生じます.この結果,解離した動脈壁内に血液が流れ込み,コブを形成します.これが大動脈瘤で す.この解離性大動脈瘤は自覚症状なく次第に拡大していき,最後には破裂してしまうのです.解離性大動脈瘤が破裂してしまうと,命を救うことは非常に困難です.したがって,解離性大動脈瘤が破裂する前に見つけだし,破裂しないように未然に防ぐことが大切です.マルファン症候群患者の死因は若年者に限れば解離性大動脈瘤の破 裂なのです.スポーツ中は血圧が上がるので,特に破裂の危険が高くなります.若年時に解離性大動脈瘤の管理を心臓専門医のもとで受け破裂に至らなかった場合は,中高年まで生存可能です.高齢者になるとむしろ心不全が問題となるので,引続き心臓 専門医の管理を受けるべきです.

 また前述したように,マルファン症候群は常染色体優性遺伝という,遺伝性疾患です.つまりこれまで述べてきた外見上の特徴や内科的な特徴以外にも,血縁関係者で心血管系の異常による突然死を起こした人がいる場合には,マルファン症候群である可能性はグンと高まるのです.

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