マルファン ネットワーク ジャパン
知らないと恐いマルファン症候群  

2.バスケットボール界でマルファン症候群を注意しなければいけない理由

 マルファン症候群は,19世紀の終わりにフランスの小児科医Marfanが初めて記載した疾患です.マルファン症候群は,風邪や肝炎,エイズなどのように後天的に罹患する病気ではなく,常染色体優性遺伝という遺伝形式をとる遺伝性疾患です. したがって,人や動物等から感染するような疾患ではありません.遺伝性疾患とはいっても,生まれたばかりの頃には症状はなく,中学,高校生ごろから徐々に症状が出現してきます.マルファン症候群は,症候群という名前の通り様々な症状を呈します.

 バスケットボール界では,マルファン症候群に特別な注意を払う必要があります. その理由は,2つです.

 まず,バスケットボール関係者は,高身長者を重宝がるわけですが,マルファン症候群患者は,非常に背が高いという特徴があるということです.すなわち,バスケットボール界にマルファン症候群患者が潜在する可能性が高いということです.

 もうひとつも理由は,マルファン症候群患者は,疾患の症状の一つである心血管系の異常により突然死を起こす可能性が高いということです.

 高身長者が重宝がられるもう一つのスポーツにバレーボールがあります.アメリカ代表選手であった女子選手が日本実業団チームに所属し,日本リーグ試合中に本疾患が原因となる突然死を起こしたことは皆さんの記憶にもあることでしょう.同様な死 亡事故や,もう少しで死亡事故となったニアミスがバスケットボール界でも起こっています.対策を立てないかぎりその危険は減らないのです.

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