マルファン ネットワーク ジャパン
知らないと恐いマルファン症候群  

4.検診方法

 マルファン症候群の検診方法ですが,胸部X線写真,安静時心電図,血液検査,尿検査,内科医による問診,聴診,触診などの一般的に行われている健康診断は,マルファン症候群を発見するには不十分です.これまで述べてきたような外見的な特徴に少しでも当てはまり,マルファン症候群が疑われるようであれば,心臓や血管の形態 異常を検出する心エコー(超音波)検査を受けることをお勧めします.この検査は心臓の弁の異常や,動脈血の逆流,さらに心臓の形態の異常や動きの異常や,先天性心奇形を検出も行うことが可能です.

 心エコー検査は自覚症状がない場合,自費検査となるため,学生には負担が大きいのですが,若年者に見られるマルファン症候群による突然死を防ぐには,高校生ぐらいから心エコー検査を受けることをお勧めします.なぜなら,マルファン症候群では解離性大動脈瘤の破裂が10歳以下で生じることは稀で,16歳以上で見られはじめ ,40代〜50代に多いことがわかっているからです.解離性大動脈瘤は徐々に進行するものですから,できれば1年後に再検査を受けることが好ましいでしょう.私がチームドクターをしている実業団チームでは,入団時,2年目の春に全員,心エコーを義務づけています.2年とも正常だった選手は,3年目以降は省略しています.大動脈瘤が破裂する前に発見することが命を救う唯一の方法である限り,これは決して無駄な検査ではないのです.

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知らないと恐いマルファン症候群 > 第11回(4)