マルファン ネットワーク ジャパン
知らないと恐いマルファン症候群  

3.二人で行う心肺蘇生法

 二人で心肺蘇生法を行うには,一人は頭のところに位置して,気道を確保(A)し ,マウス・トゥ・マウス人工呼吸(B)を行い,頚動脈の拍動をチェックします.も う一人は,心マッサージ(C)を行います(図1).

 長時間にわたって心肺蘇生を行わなければならないときには,適当な間隔でお互いの役割を交換するといいでしょう.この交換を円滑に行うためにも,図1のように, 心肺蘇生を行う二人は患者の左右に位置するのが原則です.

 実際にやってみましょう.図1をみながら,まず一人は患者の頭のところに位置し ,もう一人は心マッサージを行うのに適当な位置に膝を立てて準備します.直ちに, 気道を確保した後,2回吹き込みを行い,頚動脈の拍動をチェックします.11月号でもお話ししましたが,弱い自発呼吸があった場合に人工呼吸を行うことはそれほど障害にはなりませんが,心臓の場合には,たとえ弱くわずかでも自己心拍で動いてい る場合には注意が必要です.従って,心マッサージを開始する前には,心臓が停止しているかどうか,脈拍のチェックを必ず行ってください.最も信頼できる心拍動の確 認方法は頚動脈の拍動をチェックすることです.頚動脈の拍動が確認できないときには,心マッサージを直ちに開始します.

 心肺蘇生法は,1回の吹き込みに続いて5回の心マッサージを行う割合で,繰り返 し行います.心マッサージの速さは,大人で1分間に80回の割合で行います.この間隔が正しく保たれて行われているかをチェックするためには,1,2,3・・・と 声をかけて行うといいでしょう.

 頚動脈の拍動の有無を心肺蘇生開始後1分後にチェックします.これを1分チェックと言います.もしも頚動脈の拍動が触れたようであれば,心マッサージは停止しま す.さらに自発呼吸が見られるようになれば,人工呼吸も中止します.頚動脈の拍動を触れるようになったものの,自発呼吸が見られない場合, 人工呼吸だけ続行します.このとき,心拍がいつまた停止するか分からないので,頚動脈の拍動チェックは継続して行います.1分チェック後は,頚動脈の拍動のチェックは3分ごとに行うようにします.

 心マッサージを行う際のもう一つ注意があります.心マッサージは5回を1セットに行っていきますが,1セット終わった同時に短い小休止をおいて,人工呼吸の際に肺が膨らみやすくしてやります.

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