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知らないと恐いマルファン症候群  【マルファン症候群とは】

2.マルファン症候群とは

 マルファン症候群とはどんな病気なのでしょうか?最初に,先月号でもお話しした内容も含め,もう一度復習を兼ねて,簡単にまとめてみましょう.

 マルファン症候群とは,19世紀の終わりに,フランスの小児科医,Bernard−Jean Anton Marfan(1858〜1942)により初めて記載 された病気です.四肢,指が細長く,やせています.背骨が曲がっていたり,漏斗胸 を呈したり,眼科的には水晶体脱臼が合併するため,極度の近視であることがあります.内科的には,心臓・血管の異常が見つかります.すなわち,大動脈の壁に亀裂が生じ(解離),動脈瘤(解離性大動脈瘤)を形成します.この解離性大動脈瘤は,自覚症状なく徐々に大きくなり,やがて破裂(解離性大動脈瘤破裂),突然死を起こし ます.破裂直前もしくは破裂まで,胸痛や胸部苦悶感等の自覚症状がまったくないので,しかるべき検査を受けないことには,解離性大動脈瘤は見つかることは無いのです.このことが極めて重要といえます.繰り返しますが,自覚症状がないまま解離性 大動脈瘤はどんどん膨らみ続け,破裂の時を迎えるのです.解離性大動脈瘤が破裂すれば,致死的でです.まず命を救うことは困難です.

解離性大動脈瘤破裂直前に自覚症状が出て助かった例もありますが,まれな幸運な例 と言えます.

 それでは,マルファン症候群は,どういった人がかかるのでしょうか?1913年にWeveは,マルファン症候群が同一家系内発生が高いことを指摘しました.その報告後の研究の結果,今日では,マルファン症候群は常染色体優性遺伝という遺伝性 疾患であることが分かっています.すなわち,マルファン症候群は遺伝性疾患なのです.したがって,家族にマルファン症候群の人がいるかどうか,血縁関係者で心血管 系の異常による突然死を起こした人がいないかどうか等の情報は,マルファン症候群 を検出するうえで極めて重要な情報と言えます.

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