マルファン ネットワーク ジャパン
第110回小児科学会

日 程 : 2007年4月20日〜22日
場 所 : 京都国際会議場
展示内容 : 医療関係者への周知活動、MNJの活動紹介など
例年通り、難病ネットの親の会の一団体として、他の9団体と共に主催者にご招待いただき参加し、ブース展示させていただきました。

<参加者の報告>

小児科の先生方が全国から参加する学会が京都で、20日〜22日の日程で開かれました。
MNJは、難病の子ども支援全国ネットワークに所属していて、そこから今回参加した10団体のひとつとして展示ブースをいただき、病気のことを知ってもらい、またMNJと言う患者会があることを知ってもらうために多くの先生方とお話しをしました。

会場には白いクロスのかかったテーブルがずらりと並び、MNJは、つくしの会(軟骨無形成の会)と、SMA(脊髄性筋萎縮症)家族の会の会員さんや魚鱗せんの会、がんの子どもを守る会などの会員さんと並んで、それぞれの病気の話や、家族の会の運営の難しさ、組織のあり方などの話しをするチャンスもありました。

京都なので、関西支部の会員さんが参加という大きな会も、全国どこにでも私が飛び回らなきゃと言うたくましいお母さんもいました。命に別状はなくとも、好奇や偏見の目にさらされて毎日の生活が戦いだと言う病気もあります。マルファンは背が高いことが時に好奇の目で見られますが、つくしの会の人は大人になっても、背が伸びず、手足も短いままです。高校生の患者さんは東京から、新幹線で一人で会場まで来ました。いろいろな思いがあるに違いありませんが、皆、たくましく、自然に振舞っていました。背が高いことも低いことも、皮膚がざらざらしたことも、同情は要らない、その人の個性として、普通に接してくれたら一番ありがたいと言うのが共通の願いです。

小児科の先生で特に若い先生は、やはり熱意があって、留学先のアメリカでは、患者に対して、医者が病気でできた、そばかすやあざも「ビューティフル」と言って、ごく自然なしぐさで撫でていたのが印象的だった、と一生懸命話してゆかれました。そこに前日まで小児遺伝学会でお忙しかったアドバイザーの沼部先生が寄ってくださいました。

小児科の先生でマルファンのことを知らない方は、まずいませんでした。特に遺伝を専門にしていらっしゃる先生はとても関心が高く、ブースに立ち寄ってゆかれました。

「ガイドブック」は大きな病院、大学病院には配布したので、「ああ、これ知っていますよ。」とすでにかなり有名で、多くの先生がご存知でした。ただ、自分用のがありませんと言うことで、何人もの先生に差し上げました。とても勉強になりましたよ、とか、読ませてもらっていますなどと言われると嬉しくて、作成に関わったスタッフの方々に伝えたいと思いました。医学書出版の方はマービンの絵本に興味を持たれたようでした。

いろいろな話しをした中で、若者とマルファンの話も出ました。専門がsudden death(突然死)だと言う先生が、若者が、病気を受け入れるのは大変だ、激しい運動はだめだからとすべてを取り上げるのは酷ですねといわれて、では、先生はバスケットも辞めなくてもいいと言うお考えですかと聞きましたら、(京都の高校のバスケット協会の理事で医学的な立場の顧問だとのことです)やめろとはいわない、でも自分の病気のことを良く知って付き合うように指導することは大切だと言うようなお話しでした。「病気とまず向き合うことがもちろん大切だけれど、親がそう思っても正論であればあるほどと若者にはそれが困難なときがある」、そういうお話ってしてお願いしたら、していただけますか?と伺ったら、呼ばれればどこででも講演してますよ。あと何年か、定年になるまで、教育に身をささげたいからと笑顔で話してくださいました。

いろいろな方に出会って話しができるのがブース参加の特権です。小児科の先生を囲む状況が厳しいことは事実で、でも、多くの先生が社会の中で自分が果たすべき役割と言うことを考えていらして、イラクの子どものために活動しているグループの紹介もありました。

マルファンだけでなく、他の疾患に関連する方々ともお会いし、良い勉強をさせていただきました。

京都は何十年ぶりかでゆっくり訪ねましたが、会場の国際会館は後ろの山に抱かれ、北山杉が美しく、まっすぐに連なって生え、その緑を背景に、八重やしだれ桜がまだ見事に咲き誇り、浅い水の流れも疎水のようにあって、息を飲むような美しさでした。桜は決して珍しくないけれど、周りの景色との調和で美しさが倍増しますね。会場の建物はコンクリー製だけれど、和風で、ユニークな形をしていました。1日目は何しろ珍しくて、周りをきょろきょろと見渡して、目の保養をして、疲れを癒しました。


ブース展示の会場はイベントホールで、私も一路そちらを目指して、ドアの前に立ったのですが、開かない!私が軽すぎるのかしらと、飛んでみたけどやはり開かない。で、何とか入り口を捜そうとぐるりと建物の裏まで回り、「スタッフオンリー」表示のところにおじさんがいたので、そこから無理やり入って、おじさん開けて!とお願いして、裏から入りました。期間中は、チェックも厳しく、入り口をひとつに絞ったようでした。入り口が閉まっているのであきらめて、本館からはいって、渡り廊下を延々と歩いた方もいたと思います。


会期中、話したことで印象に残っていることを少し書きます。

「患者会がイニシアチブをとって、アメリカの患者会のように医者に奨学金を出して、マルファンの研究をしてもらえるくらいになるといいですね。日本でも国からお金を出す研究と言うのはあるが、何しろ論文のための研究だから、実用的でないところがある。研究対象も限られてくるんですよね。患者会、がんばれ!」と、大学の勤務医に励まされた。素直に喜ぶべきか。

ファイザー製薬の方も寄って、ガイドブックが助成金事業だと知ると、「うちもそういう事業をやっています」「存じてます。断られたんで」「あ、それは申し訳ない!」「また、よろしく。MNJがんばってますから」どういう関連だったかメモを見ても思い出せないのですが、この方から、マイクロサージャリーという言葉も聞きました。

九州の大学病院でカウンセリングをしていらっしゃる若い女の先生。マルファンとわかった上で、子どもを持つ選択について、皆さんどうしておられるのでしょうかと聞かれました。同じ病院の心臓外科の担当からは、よく考えるように、責任は持てないといわれたそうです。「ただでさえ、妊娠中は大動脈が拡張するから、マルファンだったらなおのこと、心配なのはわかるが、何かあったら、自分たちがついているからどんと構えているから、がんばりなさいと言ってくれる先生はいないかな、自分なら言ってあげたい。」これは本当に個人差のあることで、気休めはいえないけれど、希望を捨てることもない。とてもデリケートな問題だといつも思います。

南カリフォルニア大学で働いている日本の先生、「ロサルタンには、まだまだ課題がある、子どもにいいとしても一体、いつ開始するのか、どのくらい使って大丈夫なのか?認められるまでまだ、時間がかかるね」

ロサルタンと言えば、アドバイザーの川目先生、遺伝がご専門ですが、ブースに来て一枚の写真を見せてくださいました。先日参加したアメリカの学会でディーツ先生(アメリカの患者会のアドバイザーをしている小児循環器の専門医)が、ロサルタンの効果を研究しているのだが、学会の席で、骨も弱い男の子が一年ロサルタンを使用したことで、骨格も丈夫になったと発表。嘘のような話だが、写真はそのことを証明していると、見せてくださいました。マルファンだけでなく、筋ジストロフィーなどの病気にも効果が期待されているとの話だそうです。ロサルタンには効果を期待する声と少々加熱気味だという見方とあるようです。日本ではなおさら慎重になるでしょうが、すでに降圧剤として、認められている薬なので、実際手に入れて使うことはできるはずで、すでに処方してもらっている患者さんもいるようですね。
(霜崎さん)

3日目に参加しました。初めての学会です。何人かの先生が立ち寄ってガイドブックを持っていかれました。千葉大学の先生が熱心にマルファンの事について話してくれました。役には立てませんでしたが参加してよかったと思っています。もっとたくさんの会員さんに気軽に参加して欲しいと思います。
(なおとさん)

なおとさんがお話されていた先生、各患者会を順番に訪れてじっくりとお話をされていましたね。
受け持っておられる患者さんについて、症状や生活・家族の状況など多方面から考えて相談に来られた先生もいらっしゃいました。こんなふうに担当の先生に考えていただけたら、患者や家族にとってはとてもありがたいしうれしいことだと思います。
また、他の患者会の方ともお話しすることができ、病気のこと、会の運営のことなど、それぞれにいろんな悩みを抱えながら、でもとても前向きに力強く毎日を生きていらっしゃると感じました。

「学会」というと堅苦しい感じがするかもしれませんが、会員さんや他の会の方などいろんな方とお話ができるいい機会でもあります。
次の機会には、もっとたくさんの方々が気軽に参加していただければと思います。
(pup)

学会参加報告 > 第110回小児科学会

MNJトップページマルファン症候群について会の紹介会員ページ

Copyright 2007 MNJ