マルファン ネットワーク ジャパン
第38回 日本心臓血管外科学会

日時:2008年2月20日〜22日
場所:福岡国際会議場

2月20日〜22日の3日間、福岡の国際会議場で、第38回日本心臓血管外科学会が開かれました。
主管は久留米大学。全国から心臓外科医が集まり、この分野における、今まで積み重ねてきた手術法、治療法、その遠隔成績などを確認し、より質の高い医療の為に討論することを意図し、設定されたテーマは「エビデンスからあらたなチャレンジ」とあります。内容はシンポジウム、会長要望演題、一般講演、ポスター発表などです。

当日朝10時前、無事福岡到着。福岡空港は街なかにあり、地下鉄を二駅乗るともう、博多駅です。駅を背にして立派な大通りが伸び、その先の博多埠頭手前に会場があります。会場まで距離はあまりないのに、左右に通りがたくさんあり、信号の多いこと、多いこと、そのたびにバスはストップです。

会場では前日から福岡入りしていたスタッフのタクヤさんがポスターを貼り、資料を並べ、用意してくれていてもうすっかりお店ができていました。

なぜ、MNJがこの学会との関わりを持つことになったかというと、4年前にやはり福岡の同じ会場で大会があり、その時にアドバイザーの須田先生のご好意でマルファンの患者会があることをお医者さんにも知ってもらおうという目的で、受付の横に長机と椅子をいただいたのが最初です。
以来、それぞれの開催地で患者会の周知活動ということで機会をいただき、出向いたり、資料を置かせてもらったりしてきたのです。

今回は会場の医療機器展示場の中にブースを与えていただき、マルファンネットワークジャパンと書いた立派なプレート、長机、それに椅子、展示用のパネルを用意していただきました。また、参加証とホルダーもたくさんいただき、会場に自由に出入りが許されます。医療機器メーカーは多くの参加費を払ってブース出展をしています。それらは大会の運営費の一部に当てられます。

最初に偶然会場でお会いしたのは、3年前手術をしていただいた主治医でした。青い手術着か白衣姿しか見たことがなかったので、パリッとした背広姿に、一瞬「良く知っている、でも誰だっけ」と思ってしまいました。冬場は特に緊急手術の多い病院で自宅に帰れない日も多いと伺っていたので、遠く九州でお目にかかるとは思っていませんでした。
二日目に「急性A型大動脈解離後基部再建解離の検討」という演題で発表をなさり、その足で病院に戻られるとのことでした。


一日目にブースに来てくださった先生は、MNJのアドバイザーの川田先生、須田先生、大谷先生それからマルファンの患者を診ているという先生が何人かいらっしゃいました。

今までは、ブースに寄ってくださる先生には、記名していただき、会の資料や機関誌などをお渡しするだけでしたが、今回初めてアンケートをお願いすることにしました。
伺ったのは、病院名、所在地。
・ マルファンの患者がいるかどうか。
・ マルファンの患者の手術(緊急、予定それぞれ)を行なっているかどうか。
・ 手術の回数について、複数回あるか、多い人で何回か。
・ マルファンの患者に他の診療科目を受診することを勧めているか。
・ マルファンクリニックのような存在をどう思いますか。
以上の質問です。

お願いした先生は気持ちよく答えて下さいました。
14枚ありました。(東大や女子医大、国循、神戸大などの患者が多いことをMNJが知っている病院は入っていません。)

結果です。
答えていただいたどの病院にもマルファンの患者がいました。

マルファンの患者の手術に対応しているかどうかについては、「対応できる病院に紹介する」が一件、「緊急時のみ引き受け、対応する」が一件、あとは緊急、予定両手術に対応しています。

同じ患者に対する手術の回数は3回というのが多く、最高は全置換なった例を含む6回でした。

年間に何例くらいのマルファンの手術をするか伺ったところ、3〜5が多く、もっとも多かったのは大阪医科大学病院で10〜30例で、緊急手術が多いとのことでした。全置換された方は元気ですよとのことでした。

他の診療科科目の受診を勧めるかどうかは、積極的に勧める先生も、慎重に対応すべきで顕著な症状がある時のみとお答えの先生もありました。

最後のマルファンクリニックについては、反対の意見はありませんでしたが、ひとつしかなければ、地理的にもどの患者も平等にその恩恵をこうむる事が出来るかどうかは別問題ですねというご意見がありました。

多くの施設でマルファン患者が受け入れられていることは、学会の発表からもわかりました。大動脈乖離にかかわる講演のデータでは「患者数○○名、うち、マルファンの患者が○名」というように、マルファンが分類分けされていました。また、発表の中で手術をするかどうかの決定において、逆流があるか、マルファンであるかどうかなどが判断材料になっていました

今回、アンケートをきっかけに、率直な意見を伺うことができました。
MNJのガイドブックなどで、具体的な病院名があると、この施設でないと、この方法でないと、マルファンの患者は対応してもらえない、という印象を患者が持ってしまうのではないかと感じている先生がおられました。また、患者に患者会MNJがあることを手術の前に教えるべきかどうか迷うというご意見もいただきました。中央集権的にマルファンの患者を一箇所に紹介するというつもりはない、できれば住んでいる地域で、対応してもらえる病院に出会えることを望んでいますということをお話しました。また、患者会は一定の手術法を指図するためのものではないこと、仲間による精神的なサポート、思いを共有する事も大切な役目だと思っていますとお伝えしました。

実際、今回マルファンの患者の対応をしている病院がたくさんあり、しかも毎年緊急を含め、たくさんの患者を扱っている病院もあるということを知りました。それぞれの場でマルファンに取り組んでいる先生がたくさんいらっしゃることは心強いことです。

マルファンクリニックの存在は、では、この考えに矛盾するかと言えば、そうではないと思っています。経験のある医師から、一箇所で複数の診療科目について診察を受け、手術や今後の方針に対して、アドバイスを受け、それぞれの地域に戻って治療を受けられればいいなと感じます。
(霜崎さん)

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