マルファン ネットワーク ジャパン
シンポ内容と報告
以下大まかな内容です。

入院時の付き添い者にとって重要なQOL は、外面的・物質的なものよりも、精神的内面的負担の領域にかかってくると考えられます。病気がわかったときから生ずるショック・パニック・疎外感・罪悪感、家族間や医師との意志の疎通がうまくいかない場合のジレンマ、ストレスなど、同室仲間との関係、きょうだいの問題、など多くの要因がありますが、これらをよくしていくために必要なものを考えていきますと、

@医師との良好な意志疎通
言葉で言うのは簡単なことですが、これがなかなか難しいですね。そこでこの橋渡し役をこの「エスビューロー」が担っておられるわけです。

A経験者によるコミュニティの創出
このような状況に落ち込んだ母親の多くが、それまで自分のいた場に帰属感を感じられなくなり、自分だけ異次元の世界にずれ込んでしまった感じをもち、同じような状況にある仲間に共感し、居場所を感じる中で、その中で新しいコミュニティが形成されたり、親の会というコミュニティが生まれます。MNJ はまさにそうですね。
ただ、そこにも入り込むことのできない方もおられ、エスビューローのように経験された方々が相談にのったりして、そういう方のサポートも担っておられます。

B病室に入れないきょうだいの託児
幼いきょうだいがおられる場合に、普段は家で留守番、休日に面会にきても病室には入れないから同伴の大人が交代で面倒をみるものの場所も限られていて、親子ともに辛いことも多いという現状に目を向け、そういうお子さんを一時的に預かったりする有償ボランティア事業をはじめようとされています。

このエスビューローの活動は阪大に限られるものですが、各病院でいろんな形のボランティアの方々がいらっしゃるところもあるようで、もっと広く深くこのような活動が広まっていけばいいとドクターからの希望的観測もありました。
このシンポを通じて強く感じたことの一つが『ドクターとのつながり』でした。
もちろん実際に活動していらっしゃるのはボランティアの方々なんですが、どの活動をとっても、そこに《ドクターの理解と協力、後押しがあるからこそ実現していけている》と言って過言でないと思います。一つの病院の中に入り込んでの活動だから当然といえば
そうなのかもしれませんが、何をするにも縛りがあるらしく、それを解きほぐしていく上でも、すごく重要なことだと感じました。
MNJ でも、アドバイザーの先生方とのつながりがもっともっと深まりひろがっていけばと思います。スタッフの皆さんが、すごくがんばってくださってますよね〜。

はじめに「マルファン」と聞かされるのはドクターからでしょうし、そこでMNJ に出会えるかどうかという点で、病院にパンフレットをおいていただく(行われていますね)、もしドクターから渡していただけたりなんかしたらすごく信頼性も安心感もUP するのではないかと思います。
はじめてマルファンと聞いた人にとって、MNJ を知っても、一歩を踏み出すのにも多くの戸惑い、心の葛藤があることと思いますから。

今回のシンポの中でも、患者側から、「せっかくいい活動をしてくれているのに、患者さんたちは知らなかったり、知っていてもどうしていいのかわからなかったりすることが多い」という声があり、入院の時にパンフを一緒に渡す、ドクターから紹介していただく、ボランティアの方から声をかけてくれたら…などの意見がでていました。ボランティア側は、いらないときに声をかけても負担になってはいけないし、患者さんたちから言っていただければ…という感じで、どちらも遠慮しあっていても、また入り込みすぎても上手くいかないのが難しいところですね。
各病院で違いはあるようですが、このような方々とそれぞれが上手く出会えれば、QOL の向上につなげていけるのではないでしょうか。

もうひとつこれからの課題ということで強調されていたのが、「顔の見える関係」でした。
MNJ でも、総会に参加された方々はお互いに顔をあわされているのですが、NET を中心とした会であり、全国規模ということもあって総会にはなかなか参加できない方もいらっしゃるでしょうから(私もその一人ですが)、各地方毎などで、昨年中部地方で行われたようなオフ会のようなものがもっともてるといいのにな〜阪大病院小児科は小児ガン関係が多いようで、がんの子どもを守る会の方がいらっしゃっていました。会としてサポートされていることの中で「電話相談」がありました。たいていがお気持ちを聞くだけで落ち着 かれ、こちらから話すことは少なく、アドバイスと言うよりは、同じようなことがあって…と共感することによって、随分落ち着かれるとのことでした。MNJでは、掲示板等で行われていますね。やはり、人は話すこと、書くことによって、自分の気持ちを整理し、落ち着かせていくことができるし、気持ちを分かってもらえる、それに共感してもらえると心がスーッと楽になったりします。それに、MNJ 掲示板のように、ここにくればいつでも聞いてもらえるという場所があることが、会員の皆さんにとって心強いことだろうと改めて感じました。
ガン患者さんにとって、やはり告知・子どもにどう伝えていくかというのは大きな問題で、3 月に京都で『インフォームド・コンセント』をテーマにシンポジウムを開かれるそうです。


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