マルファン ネットワーク ジャパン
知らないと恐いマルファン症候群  

2.救急法

 いかにして,マルファン症候群を早期に発見するのか,どのようにして選手の管理をしていけばいいのかについては,すでにお話ししてまいりました.しかし,すべてを尽くしてもすべての患者を未然に発見することは不可能です.また,管理が何らかの理由で不可能である(たとえば,経済的理由や社会的な理由等)こともあるでしょう.いずれにせよ,スポーツの現場で突然に選手が倒れる可能性は少ないにせよゼロではありません.そこで, 今回から,不幸にして,マルファン症候群を発見できずに,スポ−ツ現場で選手が倒れたときの対処法についてお話していきます.

マルファン症候群であることは,倒れたときには分からないはずですので,スポ−ツ中に選手が急に倒れたときを想定してお話ししていきましょう.すなわち,マルファン症候群で倒れたときに尽くす手段ではなく,一般の救急法についてまとめていきま しょう.

 まずはじめに,言葉を理解していただきたいと思います.

 救急法は,救急蘇生法と,それ以外の生命に関らない処置に分類されます.救急蘇生法とは,生死に関る重篤な救急患者を救命するために行われる手当て,処置,治療 で,心肺蘇生法と止血法とを含みます.その際,医師が行うものを救命治療,救急救命士のように資格を持った人が行うものを救急救命処置,資格のない一般の人が行う ものを救急手当てといって区別します.さらに,心肺蘇生法は,特別な器具や薬品を用いることなく医師以外のものが行う一次救命と,一次を含め医師や救急救命士などの訓練を受けたものが,医師の指導のもとに器具や薬品を用いて行う二次救命とに分類されます.

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