マルファン ネットワーク ジャパン
心臓血管についてのQ&A
Q-05-1
マルファン女性で弁温存をした場合、再手術の頻度はどれくらいなのか。マルファンである場合、弁の組織自体も弱いのか。

Q-05-2
再手術の場合、生体弁または機械弁への弁置換しか方法がないのか。

Q-05-3
生体弁への弁置換と漏斗胸の同時手術は可能か。前例、術後の経過などがもしあれば教えていただきたい。

・23歳女性。マルファン症候群の疑いあり。
 2004年5月 大動脈基部が5、5ミリになっていることがわかり、人工血管へ置換手術を行う。ヤクー法で自己弁温存。
 術前術後とも逆流1度。その後外来で心エコーなどで逆流が増えてきていることがわかる。
・服薬なし。
・2005年3月頃から強度の漏斗胸を手術のため、4月術前検査として心臓カテーテル検査をした結果、逆流が3度あることがわかり、現在再手術の予定にある。

A-05-1-1
再手術の割合は私の場合はマルファン症候群の場合は10%でした。最近成績がよくなってきていますので、その内5%ぐらいまでさがるのではないかと思います。普通の人に比べると弁も弱くなってはいます。

A-05-2-1
実際の状態を見てみないと分かりませんが、通常は弁置換になると思います。 デービッド手術に変換できるかですが、手術はかなり難しくなります。

A-05-3-1
デービッド手術をロート胸手術を同時にしたことがありますが、術後に出血の箇所が多くなるので、手術後出血を止めるのに苦労したことがあります。弁置換は手術が早く済みますので、ロート胸との同時手術は可能ではあると思います。
これらも実際の状態が分からないとはっきりとしたことをいうのは難しいと思います。

東京大学大学院医学系研究科
臓器病態外科学心臓外科 呼吸器外科
   教授 高 本 眞 一


A-05-1-2
マルファン症候群の大動脈弁輪拡張症に対する自己弁温存手術には,ヤクー手術とデービッド手術がありますが,再手術の頻度は一般に10%前後かと思います.
まだ,結論は出ていませんが,デービッド手術の方が遠隔成績は良いようです.マルファン症候群の大動脈は組織的に弱いことは証明されていますが,弁尖自体は最初は正常と言われていますが,弁輪拡大に伴って,徐々に引きのばされてゆき,異常となることが想像されています.

A-05-2-2
再手術の際に,弁形成術を行って自己弁を温存できる確率は低いです.その時は人工弁(機械弁もしくは生体弁)を移植するしかありません.

A-05-3-2
漏斗胸と弁再手術は勿論可能ですが,弁単独,漏斗胸単独よりも当然時間もかかりますし,出血量も多くなります.また,最初,胸骨正中切開を行った後の再手術でありますので,漏斗胸の術式に制限があります.いずれにしても,担当医とじっくりお話しをして手術に臨まれることをお勧めします.

神戸大学医学部附属病院心臓血管外科
  教授  大北 裕

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