マルファン ネットワーク ジャパン
眼科についての Q&A
Q-01
白内障の手術後の目のかすれと、白内障手術について」
4年ほど前、M大学で左目の白内障の手術をうけました。
水晶体は取らず、眼内レンズをいれました。視力はめがねで矯正して0.8くらいです。今年に入って、焦点はあっているのに、文字がかすれて見えよるうになりました。医師に聞くと、このままの状態で続くだろうという答えしかもらえませんでした。眼底に異常はないそうです。徐々にかすれが進> んでいるようで、このまま見えなくなってしまうのではないかと不安です。これは治療できないものなのでしょうか。

A-01
年齢が不明ですので、なんともいえませんが、普通に考えると、マルファンの方は比較的若い方(60歳以下)が多いので、白内障眼内レンズ手術をすれば、矯正視力(めがねをかけた視力)は、1.0でるはずです。
出ないとすれば、順番に原因を消していく必要があります。

まず、メガネで0.8だが、コンタクトレンズで1.0出る場合。何らかの原因で角膜不正乱視になっています。が、これはちょっとおこりにくいと思います。
かすれがおこって、徐々に進行している場合、もっとも多いのは後発白内障です。
メール文章では、水晶体は取らずと書かれていますが、正確には水晶体嚢は取らずだと思います。
嚢は水晶体を包むフクロで、普通は嚢に包まれた水晶体の中身がにごりますので、その濁りを取るのが白内障手術で、濁りを取り去った嚢(フクロ)に眼内レンズを入れます。

レンズの種類にもよりますが、この嚢が術後2年ぐらいの間に徐々ににごってくるのが後発白内障で、確率としては10〜30%とかなり普通におこります。
矯正視力0.8ということは、後発白内障であっても、あまり治療しないかもしれません。いずれ、0.7以下になれば、レーザーを少し当てればすぐにもとにもどります。
ただ、後発白内障はきわめて一般的ものですので、それがおこっているなら、後発白内障ですよと教えてくれるはずですので、ちょっと変な話だと思います。

眼底に異常がないということは、眼科医もちゃんと眼底が見えている、すなわち、後発白内障を通して眼底を見てまだ病気の有無がわかる状態ですから、後発があってもあまり強くないだろう(そもそも視力0.8が出ているようですから)ということは想像できます。いっそのこと、後発白内障という状態でしょうかと質問してみてはいかがでしょうか。それほど、まれなものではなく、答えに窮する白内障手術医はまずいませんから。

Q-01-2
また、右目も白内障があり、現在、新聞などの文字は読み取れない状況です。手術をするということが決定したにもかかわらず、10ヶ月近くたっても、手術になりません。これに関しても、いま、手術がたてこんでいるからといわれます。これは暗に手術は不可能だと言われているのでしょうか。左目が術後にかすれて見えることと関係あるのでしょうか。両眼とも、水晶体不全脱臼といわれました。

A-01-2

新聞が読めないなら、手術の適応はあります。
手術は予約制ですから、立て込んでいるからできないというのはちょっと意味が不明ですね。
立て込んでいるから今すぐはできない、3ヵ月後ですよ、とか、5ヶ月後の何月何日にしましょう、というのが一般的だと思います。

実際に診察してみないとなんとも言えませんが、水晶体不全脱臼ということになるとちょっとややこしいですね。
いま、私が取り組んでいる不全脱臼に対する手術をする眼科医は、実は、私しかいません。
もちろん、他のやり方でも手術はできますが、その場合は眼内レンズが入らないか、入っても将来、動いてしまう可能性があります。
私のやり方が絶対に良いということを言うつもりはまったくありません。
ただ、なぜやっているかと言えば、不全脱臼のない、普通の白内障の術式にもっとも近い結果が得られるからです。

振り返って、右眼に関しても怪しいですね。
後発ならいいのですが、眼内レンズ自体がずれてきている可能性も否定できません。
あえて、暗にということを考えるなら、手術が不可能なのではなく、難しい手術なので、あまり手を出したくないという心理かも知れません。
これは、決して医師が責められる問題ではありませんので、ご理解ください。
もし、難しい手術に挑戦して、うまくいかなかった場合、困るのは患者さん本人です。
自分が難しいと考える手術をしないというのは、ある意味、大切な倫理感でもあります。
不全脱臼が難しいというのは、白内障手術医なら、だれでも知っていることです。
未だに、私がやっている手術が広まらないのも、そういう理由です。

ご参考になれば、幸いです。

徳田芳浩

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