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マルファン症候群の人の心臓血管に対する注意点はなんですか?


アントワン・マルファン 博士が 1896 年にこの疾患を発見したときは、心臓についての特徴には気づきませんでした。しかし最近の 40 年間で、マルファン症候群の最も重篤な合併症は、心臓と血管にあることが明らかになっています。マルファン症候群の人のうち、少なくとも 90% の人が心臓に影響を受けます。このことにより、マルファン症候群を持つ人や患者の健康管理を担当する人は、この疾患の心臓に対する注意点に精通することが不可欠です。

マルファン症候群を持つほとんどの人の最も深刻な問題は、心臓から血液を送り出す主要な血管である大動脈が拡大することです。大動脈が拡大されて伸張すると、動脈解離 ( 血管の層の間が裂けること )が起きやすくなります。大動脈が解離すると、一般的に、胸の中心、腹部、背中に激しい痛みが起きます。痛む個所は解離が起きた場所により異なります。もしも大動脈が裂けた場合は、生死を分ける問題となり、緊急手術や薬物治療が必要となります。

マルファン症候群の患者の 「 大動脈拡大 」 は、症状が出ないことがあるために、長期間気づかれない場合があります。しかし大動脈の拡大により、血液の一部が心臓に逆流する場合もあります。これが起きると、通常の行動をしていても息苦しさを感じることがあります。また心拍も激しくなります。


画像1:大動脈の全体と主な支脈。大動脈は、大きく次の4つの部分に分割できます。上行大動脈(基部を含む)、大動脈弓、下行胸部大動脈、腹部大動脈です。

他の注意点としては、 「 僧帽弁逸脱症 」 があげられます。これは心臓の収縮につれて僧帽弁が異常に 「 波打つ 」 ( 動く ) ことを指します。通常、僧帽弁逸脱症は無症候性ですが、時によっては不整脈または心拍数の速さに繋がります。僧帽弁を通って漏れる血液により、息苦しさが生じる場合もあります。


画像2:上図では、心臓の通常のリズミカルな鼓動(心収縮)で心室が収縮することにより、弁が逸脱しています。血液が大動脈に流れ出ていることに注意してください。下図では、僧坊弁が非常に弱くなっているため、心収縮の間に逸脱による血液の左心房への逆流が発生しています。


このコンテンツはNational Marfan Foundation 発行のブックレットを翻訳したものです。


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