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マルファン症候群における、その他の整形外科学上の注意点は何ですか?


マルファン症候群の人の中には、股関節のくぼみが、発育するにつれて深くなる人がいます。これは寛骨臼突出症と呼ばれます。寛骨臼とは股関節のソケットの部分を言います。この状態になる原因は知られていません。小児期には、これによって問題や症状が引き起こされることはありません。成人ではソケットが深いと早期関節障害が生じ、股関節や鼠蹊部の痛みなどが起きやすくなります。このように診断された人の中には、中年期以降に人工股関節を必要とする人がいます。これはマルファン症候群を持つ人の 5 パーセント未満です。マルファン症候群は、じん帯がゆるんだ状態だと考えることができます。しかしながら大きな関節( 肩、膝、踵 )の脱臼や捻挫が、一般人口に比べて多いということはありません。この理由の一つは、マルファン症候群を持つ人が、心臓や大動脈への圧迫を避けるために、体を使う激しい行動や捻る運動を行なわないよう制限しているからでしょう。しかし他の理由として考えられるのは、マルファン症候群患者の関節の主なじん帯は、弱くはないということです。単に少し緩んでいるだけだといえるのです。

マルファン症候群を持つ人は、他の人に比べて背中や手足の痛みが多くなります。これは大きな体とそれに付随する圧力とが、弛緩した関節と共存していることに関連するものでしょう。痛みは温熱や市販の鎮痛剤( Tylenol など )、行動パターンの変更によって治療できます。これらの治療によって、通常の機能を果たすように戻れる確率は非常に高いのです。


このコンテンツはNational Marfan Foundation 発行のブックレットを翻訳したものです。


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