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胸の前部への影響はありますか?


マルファン症候群に関連した胸部の異常で最も一般的なものの 2 つが、胸骨に関するものです。「漏斗胸」は、胸骨の陥没( またはくぼみ )です。マルファン症候群を持つ人の多くにさまざまな程度で発達しますが、病気にかかっていない小児でも同様です。症状が重い場合、特に脊椎、心臓、肺などに他の異常が見られる場合には、呼吸障害を起こす場合もあります。これらの胸骨の異常は、成人するにつれて目立つようになる傾向があります。人によっては、美容上の問題点となります。漏斗胸を矯正する装具はありません。治療の唯一の選択肢は手術です。美容上の理由のみでなく、重症の漏斗胸は多くの場合、医学的に見ても治療するに足る十分な理由があります。必要な場合には、手術は小児期の中期また後期に、担当の一般外科医が行なうべきでしょう。

手術では、奇形した胸骨と肋骨を持ち上げ、真っ直ぐにして金属板で固定する方法となります。数日間の入院が必要となります。成功率は高いものです。金属板は、4 から 6 ヶ月後に、外来処置によって取り除かれます。その後、胸骨の見かけはかなり改善しますが、通常は胸の形状に若干の異常が後遺症として残り、過度のリスクを伴わずに、これを完治させることはできません。少数ではありますが、幼少期に治療した場合に奇形が再発することもあります。

「 鳩胸 」では、胸骨が外側に隆起します。マルファン症候群を持つ人の中には、胸の一方に漏斗胸があり、他方に隆起がある人がいます。鳩胸では心臓や肺への圧迫はありませんが、それでも小児やティーンエイジャーにとっては、美容的に不快なものとなります。時によっては、胸骨の外側への発育のパターンを内側に押し込むため、装具が効果的な場合もありますが、あまり使用されてはいません。手術も選択肢の一つです。

「 肋骨の回旋 」は側わん症の副作用です。通常、わん曲の側面にある肋骨は、背面でさらに隆起しています。脊椎手術が為されると、たいてい肋骨も矯正されます。肋骨自体の手術が必要となるのは希です。


このコンテンツはNational Marfan Foundation 発行のブックレットを翻訳したものです。


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