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マルファン症候群に関連する他の脊椎の問題には、どんなものがありますか?


「 脊柱後わん症、または猫背。」これは側面から見たときに顕著になります。 50 度までの後わん症であれば正常です。しかし人によっては、わん曲の悪化による奇形や背中の痛みが生じます。後わん症は、通常は肺機能の低下には繋がりません。マルファン症候群の人の後わん症は、胸部( 上部 )脊椎または腰部( 下部 )脊椎に発生します。

後わん症の治療は、側わん症の治療に類似します。発育期の小児には、装具が効果的な場合が多くあります。より年長の患者や後わん症が重い場合は、装具では役に立ちません。この場合、患者は背中の痛みから開放されるように、運動を行ってみるべきです。満足が得られない場合は、手術も選択肢の一つです。側わん症の手術とほとんど同じ方法が用いられますが、一般的に、手術が必要となる度合いは少なくなります。後わん症の人はカルシウムの摂取を怠らないよう気をつけることと、後わん症を悪化させる可能性がある骨粗鬆症にならないよう、緩やかな運動を行うようにしてください。

「 脊椎すべり症 」。これは椎骨の 1 つが、その下にある椎骨の前方にずれることを意味します。通常、脊椎の下端に近い場所で起こります。誰にでも起こり得ますが、前方へのずれはマルファン症候群の人によく見られます。この状態の人は、通常、背中下部に痛み、またはコリがあり、前屈みになって足の指に触ることができません。大変悪化した場合を除き、普通は神経への損傷はありません。治療としては、軽症の場合は運動または装具の使用となりますが、ずれが 30 パーセントを越えた場合は手術となります。

「 硬膜拡張症 」。マルファン症候群特有の発見として、脊髄嚢( 硬膜 )の腫れまたは( 拡張 )があげられます。脊髄嚢が髄液の圧力に耐え切れないことによって発生します。腫れが発生する場合は、腰部または仙骨部脊椎の下部に多く起きます。時には肥大した嚢が、骨盤などの隣接する空間に実際に押し出されることがあります。

硬膜拡張症の症状として、背中下部の痛みや、焼けるような感覚、しびれ、足に力が入らないこと、などがあげられます。症状は普通の腰痛に似ていますが、肥大した硬膜は、磁気共鳴映像法 ( MRI )またはコンピュータ断層撮影 ( CT ) によって発見できます。治療としては、脊髄のバイパスや薬物療法などが、症状が重い場合には有効です。症状が軽い場合は放っておく方がよいでしょう。


このコンテンツはNational Marfan Foundation 発行のブックレットを翻訳したものです。


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