マルファン ネットワーク ジャパン
標準的な眼科治療は?


以下の症状のいくつかがマルファン症候群の人に共通してみられます。 屈折異常(近視など)、 角膜の曲率半径の増大(平坦化)、水晶体偏位、老年期以前の白内障、緑内障、網膜剥離、斜視など。

視力の矯正は、通常の眼鏡やコンタクトレンズで可能です。(特殊なフラットコンタクトが矯正に 必要とされることもあります)注意深い検影法検査が不可欠であり、矯正を十分に行うことがの ぞまれます。放射状角膜切開手術(近視に対して行われることのある手術)は禁忌です。

白内障もマルファンの患者では少なくなく、多くは40〜50才までに起きます。眼内レンズ移植は まだ一般化していませんが(網膜剥離の危険性が増すため)、水晶体摘出と移植からなる新たな 手術が大変高い成功率をおさめています。手術はマルファン症候群の治療を専門にしている アメリカの眼科センターで行うべきでしょう。(注:このガイドはアメリカの National Marfan Foundation より許可を得て掲載しています。手術はアメリカの眼科センターで受けるべきであると記述がある のは、そのためです。)

水晶体偏位のある患者さんでは、手術療法の代わりに無水晶体用眼鏡と散瞳薬(瞳孔を拡げる目薬) とを併用する方法が良い成果をあげています。

生まれたときに水晶体の偏位が現れていなくても、2〜4才児で気付かれることがあります。 弱視の子供を見つけることにも特別な注意が払われなくてはなりません。6〜7才までに治療を 開始しないと視力の弱った目は通常,回復不可能だからです。

すべてのマルファン症候群の人々に対して、網膜剥離の徴候があらわれたらすぐに眼科医の 診察を受けるよう警告を発しなければなりません。

緑内障はマルファン症候群の人々にはより頻繁に起こるので、眼圧測定を定期検診の項目に加える 必要があります。内科的治療で効果がないような場合でも、手術の成績はすぐれたものになって きています。

屈折度の測定、眼球内圧測定、視神経乳頭の状況、ならびに網膜周辺部に穿孔を認めないかの 評価を含めた年に1度の検査を勧めるべきです。

※目の画像参考図 http://www.tokyo-med.ac.jp/genet/ms/eye.gif

このコンテンツはNational Marfan Foundation 発行のブックレットを翻訳したものです。


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