マルファン症候群の患者は、マルファンを熟知し、体全体の器官に及ぼす
影響に精通していて、家族の他のメンバーの検査についてもアドバイス
できる医師にかかる必要があります。また遺伝に関するカウンセリングも
受けましょう。
この疾患には治療法はまだありませんが、
注意深い内科的・外科的処置と、それに適したライフスタイルによって、
飛躍的な予後の改善と延命が可能です。
マルファン症候群の最も重大な問題は循環器系にあります。僧帽弁の2つの
片が心臓が収縮した時に後方へなびく、いわゆる“僧帽弁閉鎖不全症”。
この症状によって心不全や、不規則な心臓の鼓動を起こすことがあります。
マルファン症候群患者の大動脈(心臓から血液を運ぶ本動脈)は一般に幅
広でもろくなっています。この(大動脈の)広がりが進行すると大動脈弁
の漏れや、大動脈壁の裂け目(解離)を発生させる結果になることがあり
ます。大動脈が広がると(例えば血圧を下げるために ベータブロッカーの
ような)薬を処方され、大動脈にかかる圧を下げて心拍を調整するでしょう。
大動脈基部の直径が5cm以上にまで広がったり裂けたりした場合には手術
をすることになるでしょう。
激しい運動や身体が接触する運動を避けるなどしてライフスタイルを変えて、
大動脈や目、骨が傷つく危険を回避することが必要です。
ベータブロッカーは大動脈基部の拡張を遅らせることが示されており、全ての
患者に(ベータブロッカーの)服用を考慮すべきです。一定期間ごとの心臓
エコー検査は、心臓と大動脈の大きさと機能を観察するために重要です。
骨格系の症状として、背骨の彎曲(脊柱側彎/脊柱後彎)、異常な形の胸(
“胸郭”の変形)高身長とゆるい関節(しばしば関節痛や脱臼をおこす)など
があります。
理学療法や矯正が役立つでしょう。ある時点で手術が必要になります。とくに
幼年期から思春期には注意深い観察が必要です。こどもには靴の中敷きが役立
ちます。弱い足首も時とともに良くなることもあります。
マルファン症候群の患者は一般的に近視です。水晶体偏位や網膜剥離を起こす
患者もいます。視覚的な欠陥を補うのに眼鏡やコンタクトレンズが処方される
でしょう。必要ならば今ではレンズの摘出や網膜復位といった手術も可能です。
自然気胸(肺の虚脱)は患者の10%に起こると考えられており、病院での治
療が必要です。
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