マルファン ネットワーク ジャパン
マルファン症候群はどうやって診断されるの?

マルファン症候群は、人によって症状のあらわれかたに大きな違いがあるので診断は難しいでしょう。マルファン症候群のほとんどの人は、全ての徴候と症状をあらわしてはいません。

最近、マルファン症候群になる変異の乗っている染色体や遺伝子、結合組織成分(フィブリリン)が同定されたことにより、マルファン症候群の診断に希望が持てるようになりました。フィブリリンについてもっと理解が深まれば、より早期に、より正確に、マルファン症候群の診断ができるようになることが期待されます。

血液や皮膚を診断のために臨床遺伝検査士に送って異常遺伝子を検出する検査が可能になってきました。マルファン症候群の特定の家族については、特にフィブリリン遺伝子の突然変異が分かっている家族については、いまや出生前診断も可能です。(※下記参照)

一般的にマルファン症候群は3つの主な器官 - 目、骨格、心臓 - に特に重点を置いた注意深い身体検査の後で診断されます。心臓エコー(心臓の超音波図)の様な検査が診断に役立ちます。


マルファン症候群患者は、 最初の診断用の心エコー検査のあとも、 一定の期間ごとに 心エコー検査を受けなければいけません。


心電図は適しません。骨のエックス線(主に胸と背中)検査や、水晶体偏位を調べるための細隙灯顕微鏡を用いた眼の検査もおすすめします。家族歴も診断時に参考にすべきです。



(※)
日本国内においては国立循環器病センターなどで診断可能ですが、(医療アドバイザー Q&A のページ参照) 担当の森崎先生によりますと「現時点では、すべての変異があきらかにされているわけではなく、典型的な Marfan でも変異は50%程度にしか見つからない。変異の見つかった症例では確診となるが、見つからなかったからといって否定できない。したがって、亜型に確診をつけるには不十分である可能性がかなりある。」との事です。
マルファンと診断された家族の、お子さんに遺伝しているか否かの診断には有力な手段となりますが、新たな患者さんがマルファン患者で有るか否かの診断には不十分であります。
またこの検査はルーチンワークとして実施されているものではなく研究段階のレベルと思われますので、実施依頼については時間的余裕を持って医療機関を通すように配慮して下さい。

アメリカの National Marfan Foudation の Diagnosing the Marfan Syndrome の最終項目、Using the Fibrillin Gene to Diagnose the Marfan Syndrome には、以下のような解説が掲載されています。

Fibrillin 遺伝子を使った Marfan 症候群の診断
科学者達は、Marfan 症候群の診断を助ける 2つの分子生物学方法を開発しました。
第一の方法はリンケージ解析と呼ばれ、fibrillin に対する異常遺伝子を同一家系内 で追跡するものです。第二の方法は突然変異解析と呼ばれるもので、 fibrillin 遺伝子上のわずかなな変化や変異が識別されます。どちらの方法も、その血縁者が、たとえ出生前であっても、Marfan 症候群の罹患リスクを負うか否かを、徴候または症状が現われる前に識別することができます。
しかし、これにも限界があります。まず、fibrillin におけるすべての突然変異が、Marfan 症候群を発症させるかどうかがまだ明らかではありません。多くの研究者は、その答えが「No」であると考えています。さらに、Marfan 症候群のすべての人に fibrillin の突然変異を見いだすのもまだ可能ではありません。
しかし、(発症を決定づける)なんらかの変異の存在を示唆する多くの証拠が存在します。
リンケージ解析は、意欲的に研究に協力してくれる罹患した血縁者が存在する場合にのみ、有用です。しかし、大多数の家族は、単に罹患者がすでに生存していないという理由から、この種の研究には不適切なのです(少なくとも 2人、望むべくは 4人の罹患血縁者が必要です)。その結果、Marfan 症候群の診断は、多くの症例において、依然として臨床診断によりなされているのです。




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