マルファン ネットワーク ジャパン
整形についての Q&A
Q-06
高身長児へのホルモン治療の進歩について
受診希望の場合は、長崎大学付属病院に通院する方法のみになります
でしょうか?
また、女性ホルモン投与による副作用に関しては、も1999年にこのHPに
紹介していただいた記事から、進歩、変化等ありますでしょうか?
この頃、娘の成長の速度が速くなり、小3で、秋の検診で160cm,40Kg、
春の検診に比べて、月に1cm身長が伸びている感じです。
早くも、胸のふくらみ等始まり、体形にも変化が見られはじめています。
治療開始の時期としては、適当でしょうか?
長距離通院をしているかたもいらっしゃるのでしょうか?

A-06
この問題に詳しいと思われる先生(私の前任の長崎大学小児科助教授で内分泌専門 木下英一 先生)から以下のコメントを頂きました。

『一般的に日本では高身長が社会的問題になることは少なく治療されている症例はほとんどないと思いますが、欧米ではconstitutional/familialtall girlの治療としてエストロジェン治療が以前より行われています。この治療法は成書にも記載されていますので、内分泌科医のいるところでは長崎に限らず全国どこでも治療可能と思われます。身近な小児内分泌科医にまず相談してみては如何でしょうか。
場所が分かれば私の方でも適当な先生をpick upしてみます。また、高身長に対するE2治療では、骨に対する効果(E2による骨端線閉鎖)しか必要ありませんので、生殖器や乳腺に対するE2効果やそれによる副作用 が気になるようでしたら、最近開発されている TamoxifenなどSERM(Selective estrogen receptor modulator)を使用する方法もあります。(成書ではE2製剤が使用されていますが、個人的にはSERMの方がよいと思っています。)

ただ、これらの治療はエストロジェンの骨成熟、骨端線閉鎖を目的とした治療ですので、思春期に入る前の治療になります。思春期に入れば自然にE2は上昇 (外から補充するのと同じ事になります)して、思春期の自然経過(女性では4〜5年で平均20cmほどの身長獲得)で骨端線は閉鎖し最終身長に到達しま す。思春期に既に入ったヒトにE2を追加して骨端線が早く閉鎖するかどうかはevidenceはないと思います。』

つまり、以上のことを踏まえ、お近くの小児内分泌医にご相談されてみてはということの様です。ただ、どのような先生がお近くにおられるのかが分からないということであれば、再度、ご連絡をいただければと存じます。

以上、宜しくお願い申し上げます。

長崎大学医歯薬学総合研究科 小児病態制御学 
長崎大学医学部・歯学部附属病院遺伝カウンセリング室

近藤達郎

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