マルファン ネットワーク ジャパン
薬についての Q&A
Q-06
私は「マルファンネットワーク」の回覧ノートで、てんかんのアレビアチンの薬の件で柴田さんにアドバイスを頂いた大阪に住んでいる K. M. 31才です。アドバイスどおり主治医に血中濃度を測って頂くと14.2 で10 〜 20 の範囲なので安心していました。
ところが、先日 ( 10 / 28 ) に約1年ぶりに友人と話しているとき意識を失い、イスから落ち頭をケガするなどの発作が出てしまいました。薬は1日3 回服用していたのに不思議です。
数日後、脳波や採血検査がありました。血中濃度は、17.4 という数値でアレビアチンは、これ以上増やすことは無理だという主治医が話されて、アレビアチンを他の薬に変更するかどうか、テグレトール 1日 1 回、アレビアチンと一緒に服用することになりました。
柴田さん、アレビアチンがテグレトールに変更になっても副作用は起こらないでしょうか。どんな薬が、良いでしょうか。アドバイスをお願いします。

<現在の薬>
[てんかん]
アレビアチン 100 mg 1 日 3錠
テグレトール 200 mg 1 日1錠 夕食後
[神経性膀胱炎]
アリナミン F 錠 1 日 3錠
ベサコリン散 5 % 1 日 3回
[肺結核]
リマクタン ( 1 日 3 錠) 1 回
ヒドロサン 1日 2 回 朝夕
[胃薬]
ムコスタ 100 mg 1 日 3 錠
ピドキサール VB6 1 日 3 錠
ノイロビタン 536 1 日 3 錠
結核は平成 3年に一度入院治療し、今年 6月 〜 9月まで入院治療しました。

A-06
さて、お尋ねの件ですが、どんな薬でも人それぞれ反応が違います。家内は先日心不全状態に陥り、新しく利尿剤を飲み始めたのですが、とたんにヒドイ下痢が起きました。薬を飲み始める前よりも、どうきがひどくなり、腹痛を伴う下痢となってしまったのです。私は何百人もの患者さんに薬の説明をしていますが、こんなことは初めてでした。主治医のベテラン内科医も、そう言って居ました。
K さんが浜松医大に入院しているのであれば、毎日の病状と色々な検査から最適な治療法を見つけることが出来ると思いますが、お手紙では一般的な説明しか出来ません。この点はご理解下さい。
アレビアチン ( フェニトイン )と言う薬の一般的な適正血中濃度は、ご存じのように 10 〜 20 μg / mlです。ところが、この濃度に収まっていれば絶対大丈夫とは言えないのです。多くの人を調べた結果、20 以上では副作用の出る人が多くなり、10 以下では効果が出ない人が多い、と言うだけのことです。K さんの必要とする量はいくつなのか? 色々試してみないと判らないのです。アレビアチンの難しいところは、わずかな量の変更で、血中濃度が大きく変動する事が判っている点です。そう言う意味では、治療がごく難しい薬として挙げられます。だからこそ、多くの薬剤師が専門的に取り組んでいます。( 浜松医大では加藤君という若者が担当しています。今回も彼に相談しています )
そちらの先生が増量は難しいと言う点は、以上の説明で理解していただけますでしょうか? 少し増やしただけで、激しい副作用が起きてしまうケースもあるのです。外来治療では万一を考えると心配で出来ないのだと思います。
正しく飲んでいても効果が発揮できないケースもしばしばありまし
て、そのような場合は段々に色々な薬を試すことになります。良く使われている薬としてはテグレトール ( カルバマゼピン )、デパケン バルプロ酸 )、フェノバール ( フェノバルビタール )、エクセグラン( ゾニサミド ) などが挙げられますが、どれが良く効くと言う風には挙げられません。どの薬も血中濃度を測りながら量を決めるべき薬です。どれも眠気が出やすい薬ですし、湿疹が出るケースも多いと思います。異常に気付いたら早めに受診しましょう。
今回の変更についてプロ的に裏話をしてしまうと「 アレビアチンは適正量であるのに発作が起きてしまった。何かに変更はしたいが副作用が出るのも怖い。ではまず眠くなっても良い時間に新しい薬を試してもらい、様子を見ながら切り替えるしかないなぁ 」くらいだと想像します。
ごく専門的な注意点まで話してしまうと、それぞれの薬の相互作用も心配です。一つ加えただけで思いのほかバランスが崩れるケースもあります。しかし、それも「 やってみなければ判らない 」範疇かと思います。全ての薬について医師に伝えてください。
なお、その他の薬についても触れますと、ピドキサール ( ピリドキサール ) 、ノイロビタン ( ビタミン B 複合体 ) はビタミン剤で、胃の薬ではありません。ヒドロンサン ( イソニアジド ) の副作用防止のためです。リマクタン ( リファンピシン ) は朝の食前に飲むほうが良いのですが、どうされていますでしょうか? リマクタンの色素が涙にも分泌して、コンタクトレンズでは良くないのですが、大丈夫でしょうか?
ご病気の内容から言って、お薬とは縁が切れそうにありませんが、上手に付き合ってください。私で出来ることでしたら精一杯お手伝いいたしますので、いくらでもお便りください。
97/12/11 柴田悠喜

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