25、 1985年以降様々な研究がされました。この中でACE阻害薬の効果がなかったと結論づけられたのは一つだけで、それは心筋梗塞発症直後の患者さんに注射薬でACE阻害薬を投与するというものでした。多くの試験で、ACE阻害薬の有効性が証明されて来ています。

 

 

26、 マルファンの方が陥りやすい大動脈弁及び僧帽弁の閉鎖不全について説明します。本来血液の流れは全て一方向になっています。それは血管や心臓に弁があるから可能になっているのです。もしこの弁に異状が起きると心臓の負荷は非常に大きくなってしまいます。

27、 僧帽弁閉鎖不全があると一旦左室へ送り出した血液が左房に戻ってしまい、左房が拡大して、先ほど紹介した左心不全の状態になります。大動脈弁の方が閉鎖不全となりますと、心臓の拡張期に血液が左室へ逆流し、左室の負荷が大きくなります。いずれにしても弁の閉鎖不全が存在すると、心臓の負荷が大きくなってしまいます。
また大動脈弁閉鎖不全では、心臓の収縮期の血圧はより高くなり、拡張期の血圧は下がってしまうことにより、結果として収縮期と拡張期との差が大きくなります。この血圧の差を脈圧と呼びますが、これが大きいと血管に負担を掛けてしまいます。
この様な理由で心臓の収縮力を弱める作用のあるβブロッカーや血管を広げる作用をする薬が心臓や血管の負担を少なくするように働くわけです。