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遺伝カウンセリングを利用する

近年、「遺伝カウンセリング」や「遺伝相談」を行うための、遺伝外来や遺伝子診療部門と呼ばれる科が、いくつかの大規模医療機関に設置されるようになってきました。ここでは、臨床遺伝専門医や遺伝カウンセラーを始めとして、臨床心理士や関連する疾患領域の専門看護師、病院のメディカル・ソーシャル・ワーカーなどが連携して、遺伝性疾患をめぐる心配や疑問に対応し、最新で総合的な情報提供や、患者・家族の心理社会的支援を行っています。
マルファン症候群の個々の症状については循環器内科、心臓外科、眼科、整形外科などそれぞれの診療科領域の専門医に診てもらう必要がありますが、遺伝カウンセリングでは、マルファン症候群の全体像を見据えながら、その診断や予後、治療、検査、症状の予防やマネージメント、遺伝などについて総合的に最新情報を提供してもらうことができます。
臨床遺伝専門医は、こうしたマルファン症候群の全体像や遺伝に関する情報に詳しい専門家で、皆様の質問に答えながらじっくり、ゆっくり、説明してくれます。
また、米国には医師ではない遺伝カウンセラーという職種が存在し、専門の修士課程の卒業者が約2000 人活躍しています。非医師の遺伝カウンセラーは、マルファン症候群の医学的情報や遺伝の問題をよく知っているだけでなく、マルファン症候群特有の患者・家族の心理社会的状況にも詳しい専門家です。また、こうした遺伝カウンセラーは、難しい医学の知識をわかりやすく説明する技術に長けており、さらに、簡単な心理カウンセリング技術も駆使しながら気持ちの整理やコーピングの支援にも応じてくれます。
最近日本でも、同様の非医師遺伝カウンセラーの養成がはじまり、今後、こうした遺伝カウンセラーの活躍が期待されています。
遺伝カウンセリングは、日本ではまだ新しい分野ですので、臨床遺伝専門医や非医師遺伝カウンセラーとひとくちに言っても、個々で知識や能力に差があり、標準的な遺伝カウンセリングのあり方はまだ定まっていません。適切な遺伝カウンセリング施設が見つからない場合には、MNJ スタッフやMNJ のアドバイザーを勤めている医療者に相談するのもひとつの手です。
なお、遺伝カウンセリングは通常予約制で、主に大学病院や小児専門病院、および、保健所などで受けることが可能です。小児専門病院の遺伝相談外来であっても、ほとんどの場合大人の相談も受け付けています。日本では遺伝カウンセリングには健康保険がきかず、1回1時間〜1時間半のセッションで1万円程度の自費扱いとなることが多いようですが、現状ではどこの病院でもそれほど混んでいないので通例2週間〜1ヶ月以内に受けることができます。
遺伝カウンセリングには、ひとりの人が何度来談しても構いませんし、ひとりで受けても、親子、兄弟姉妹、夫婦その他誰かと一緒に訪れることもできます。

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