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診断がついたことの意義

多くの方々は、マルファン症候群という診断がついたときに、多かれ少なかれショックを受けたりつらい気持ちになったりすることと思います。しかし同時に、診断がついたことでよかったこともあるのだという部分に気づく経験をなさった方々も少なくないはずです。マルファン症候群においては、疾患に対する正しい情報を知っておくことが多くの命を救うのだと、MNJのメンバーの方々も海外の方々も声を大にして叫んでいます。診断がついたことで、知らなければ命をもおびやかす可能性のある疾患に対して正しい医療マネージメントを受けることができるようになるということが、最大のメリットなのだと心に刻むことが大事です。
診断がつくことのメリットはほかにもあります。これまで何が起こっているのかわからず、症状があるのに放っておかれたり、複数の医療機関をめぐっていたのが、きちんと診断がつくことで適切な医療が受けられるようになるだけではなく、気持ちの上でも「はっきりしてよかった」と思うことができます。関節の痛みや疲労感が本人のわがままなどではないことがわかったり、眼鏡をかけてもうまく視力が矯正できなかったのがなぜかわかったりと、いろいろな症状がなぜ起きていたのかつじつまの合う説明ができるようになって、すっきりした、という人もいます。疾患において今後気をつけなくてはならないことがわかる一方で、気にしなくてもよいこともあることがわかるようになります。最近は多くの人が寿命を全うしていることがわかって、決して短命な疾患ではないのだということを知ることもできます。また、診断名がつくことで、マルファン症候群により詳しい専門医や適切な社会福祉サービス、MNJのような患者・家族の会にたどりつくこともできるようになります。同じ疾患を抱える患者・家族の仲間に出会うのは、疾患名がわかっている場合ならではのことです。
遺伝の可能性がわかることについては、それをつらく思う人も少なくないかもしれません。しかし、何も知らずにいるのと、知っていてどうするか考えながら前に進むのとでは、心構えが違いますので、長い目で見れば、知っていることは決して悪いことではないと思う人も多いはずです。
このように、マルファン症候群であると知ることは、ショックなことであると同時にたくさんのメリットをもたらします。ショックと感じる気持ちを否定する必要はまったくありませんが、同時に、せっかく知ることができた診断を将来の健康管理に有意義に活かそうという気持ちを持つことも大切です。そのようにつらい気持ちと前向きな気持ちの両者を抱えているのは人間として自然なことです。多くの患者・家族の方々が、そうした状況で親子や夫婦、家族の会話を重ね、周囲の人々と一緒に涙を流したり喜んだりしながら素晴らしい人間性を育んでいらっしゃいます。


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