マルファン症候群の症状
マルファン症候群の症状は、各人各様です。 骨格 マルファン症候群の患者さんは、概して長身ですらりと細く、関節がゆるんでいます。 眼 マルファン症候群の患者さんの半数以上で、片方または両方の眼で水晶体(レンズ)の位置のずれ(水晶体偏位)が生じます。水晶体の位置が通常よりも上下方向または、横方向にずれることもあります。 心臓と血管(心血管系) マルファン症候群の患者さんの大部分に、心臓と血管に関わる異常を認めます。 神経系 脳および脊髄は、結合組織からなる硬膜と呼ばれる膜に包まれた液体に囲まれています。マルファン症候群の患者さんは年齢を重ねるにつれ、しばしば硬膜が弱くなって引き伸ばされ、そして下部の脊柱を圧迫し、脊髄を取り囲む椎骨を削っていきます。この状態は、硬膜拡張と言われています。これによって、軽い不快感を感じるだけの場合もありますが、腹部全体に拡散するような痛みを感じたり,脚の疼痛、麻痺、筋力低下などを来たす場合もあります。 皮膚 マルファン症候群の患者さんの多くは、体重の変化がなくても、皮膚に伸展線(急激に肥満した場合や妊娠した場合に腹部・腿・乳房などに生ずる線状の皮膚亀裂。妊婦の場合は妊娠線という)が発生します。伸展線は、どの年齢でも生じ得ますが、健康に害をおよぼすことはありません。しかし、マルファン患者さんは、腹部または鼠径部(股のつけね)のヘルニア(腸の一部などが皮膚の下に出てその部分が膨らむ)を起こす危険も高くなっています。 肺 結合組織の異常により、肺胞(肺に入った気管支が枝分かれした末端の小さな風船状の部分)の弾力が弱くなりますが、マルファン症候群の患者さんでは通常、肺に関わる大きな問題は生じにくいです。しかし、肺胞が伸展し膨張しすぎると、破れて気胸(P60参照)を来たす危険は増大します。また、マルファン症候群の患者さんでは、いびきや睡眠時無呼吸(短い周期で呼吸を止めることを繰り返すのが特徴の睡眠障害)のような睡眠に関連する呼吸障害が見られることはあまりありません。 |