mnj


心理的適応の目標としての自己コントロール感覚

以上、患者・家族の心理面、精神的ケアの側面からの情報を述べました。
マルファン症候群の心理社会的状況とそのより適切な支援のあり方については、当事者の患者・家族の方々がいちばんの専門家であると思いますが、少しだけでも参考にしていただければと思います。
なお、心理的適応という目標が達成されたかどうかを評価するのは難しいことですが、ひとつの試みとして、Perceived Personal Control(PPC:自己コントロール感覚)という指標があります。疾患や遺伝に関する事実はどんなに努力しても変えられるものではありませんが、変えられない現実の中で、何をすればよいかわからないとうろたえているのではなく、マルファン症候群という事実について自分が理解し対処、コントロールできているという感覚をもつことでより心理的に負担の少ない状況でいられる、という考え方です。
このPPC というテストでは、遺伝カウンセリングを通じて9 つの質問項目(表3)に答えることにより、自分の心理状態を知ることができます。また、MNJの集まりに参加したり遺伝カウンセリングを受けたりする前後にテストしてみることで、点数がアップしていれば、より自己コントロール感覚が高まったと評価することができます。お時間のあるときにどうぞ一度試してみてください。


表3 Percieved Personal Control (PPC:自己コントロール感覚)を評価するための質問項目

以下について、0=まったくあてはまらない、1=ややあてはまる、2=完全にあてはまる、の3段階で自己評価し、PPC指標の点数とする

  • 私は、なぜ自分が遺伝カウンセリングを必要としているかわかっていると思う。私は、この病気や遺伝のことが自分や家族の将来においてどのような意味をもっているか、わかっていると感じる。
  • 私は、何が問題の原因になっているか理解している。
  • 私は、私の将来に影響するような決断をするための材料や手段をもっていると思う。
  • 私は、今後何をしていくかという様々な選択肢を選ぶ際に、合理的に評価し決断ができると思う。
  • 私は、今後自分や家族の将来のためにふさわしい決断ができると思う。
  • 私は、将来病気が発症することを防ぐために、あるいは早く病気に対処するために、今できることがあると思う。
  • 困難な状況に直面したときには、どうすればよいかわかるだろうと思う。
  • 私が次の段階として何をすべきか知っている。

Berkenstadt M, et al.:Perceived Personal Control (PPC) A New Concept inMeasureing Outcome of Genetic Counseling. Am. J. Med. Genet. 82: 53 -59, 1999(試訳:田村).

TOPに戻る 

Copyright 2005 MNJ